【読書感想】「信用偏差値」―あなたを格付けする ~サブプライム問題の根源?~ [読書]
毎日のように使用しているsuicaやedyといった「電子マネー」と「クレジットカード」。
どちらもプラスチック製のカードであることから、日常の中ではあまり大きな違いを感じていないが、そこには大きな違いがあるという事を、本書を読んであらためて認識をした。
よく考えてみれば、方や500円のデポジットを払えば誰でも持つことができ、方や<審査>が存在しているのだから、ホルダーとなる為には大きな差がある。
そのクレジットカードの<審査>の際に使用されるスコア(数値)こそが、本書でいうところの「信用偏差値」である。そして、この信用偏差値を使用した社会のあり方が、サブプライムという階層を産み出し、更にサブプライム住宅ローンを産んで、金融危機の引き金となった・・・、ということのようだ。
アメリカ社会ではクレジットカードを持っていないと何もできないということは、かつてホームステイでアメリカへ行ったときに身にしみて理解してきたつもりだった。
その使用状況に対する評価が、預金金利や住宅ローン金利にまで反映するというのは何となく分からないでもないが、社会的な信用偏差値として就職や家を借りる際の目安にもされているというのは大きな驚きだった。
そしてそして、その信用評価システムを日本にも導入しようという動きがあるということにも驚いた。
社会の中で、個人に関する情報が一つに集められ、その評価で全てが左右されていく。
良い評価を得ている人にはプラスのサービスをというのは、一見、合理性があり当然の事の様に思えるが、ひとたび負の方向へ舵がきられた場合には、よほどの事(宝くじを当てる・・・)がない限り、良い方向へ転がっていくことが困難になるということでもある。
富める者はより富、貧しき者はそこから出る機会を喪失していく。
あまり大きく考えていないところに、その仕組みの導入が日本でも行われようとしている。
筆者は言う、そういった時代に備えて「信用偏差値」を高い値でキープできる様に今から準備をせよと。
例えば本書の中では、
- 所有しているクレジットカードの枚数を減らす
- 短期間に何枚ものカードを申請しない(少なくても半年はあける)
等の対策を述べている。
目立たない1冊だが、世知辛い世の中を渡って行くための知識として、数百円の情報量を払ってみる価値はあると思う。
読み始めると止まらないので、平日の夜に読むことはお勧めしない。
(最高★五個として)
好き度 :★★★★★ (知識と世渡り術?)
お薦め度 :★★★★ (読む価値はあるな)
かな。
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