【読書感想】旅する力-深夜特急ノート ~深夜特急が生まれ、そして ~ [読書]
沢木耕太郎氏が考える「旅」、そして『深夜特急』が生まれるまで、あるいはその後の「旅」をまとめたものが、この本なのだと思います。
どうして香港からロンドンへむかったのか。
どんな事を考え、それが始まったのか。
等々。
なにか、感想であまり沢山の事を書く事が憚られるような気がしてしまう、秘めたる内容である気がします。刊行されている書物ですから、沢木氏自身の考えが秘めたるものというわけではなく、私自身の考えが・・・。
私は、初めて1人で「旅立った」のは高校1年生の時だったと思います。
以降、周遊券というものを使って数度北海道・東北・近畿をまわりました。鉄道大好き人間である事から、鉄道ダイヤと限られた時間のなかでどれだけ多くの距離を乗れるかと言う事に楽しみを持っていたところがあります。それはそれで、一つの楽しみ方としての世界観があると思っています。
しかし、今さらながらがむしゃらな乗り継ぎゲームだけでなく、もっと辺りを見回す<旅>もあってもよかったのではないかな~と過去の記録を見ながら思った事がありました。
後悔をしているわけではないのです。
多くの線路に乗ったり、もうすぐなくなる連絡船に乗船するようなコースを組んだりとそれなりに目的に対して満足感を見いだせていたのですから。
私がふと思った事に対して、図らずしも本書で沢木氏は一つの回答を示しているのです。
「旅には適齢期というものがあるのかもしれない」
思わず、なるほどなとうなずいてしまえる一文でした。
『深夜特急』の背景をしり、その深さを知る事も本書の一つなのですが、この様に日常的にはあまり答えを見いだそうとしていないことが、みつかったのは不思議な驚きでした。
もしかしたら、本書は「旅をすること」をあらためて思う為のツールなのかもしれないです。
好き度 :★★★★ (一気に読み終わってしまった)
お薦め度 :★★★★ (『深夜特急』を読んでいない方にも)
かな。
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