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【読書感想】ヒトラーの経済政策・世界恐慌からの奇跡的な復興 [読書]

ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)

  ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)

  •   作者: 武田 知弘
  •   出版社/メーカー: 祥伝社
  •   発売日: 2009/03/27
  •   メディア: 新書

 

ヒトラーやナチスというと、まず思い浮かぶのはユダヤ人を迫害し、欧州を蹂躙しまくった「悪の帝国」というイメージがすっかりお馴染みとなってしまっている。

勿論、そういった側面は否定できないし歴史的な教訓とすべき存在である。

しかし、当初、ナチスは武力をもって政権運営を担当する党になったわけではない。
意外と見落とされがちだが、ちゃんと選挙で議会内に多くの議席を獲得していたのだ。

これは歴史的な事実だ。

その背景には、ドイツの当時の経済的な状況が大きく影響している。

今日も未曾有の不況と言われているが、1930年代初頭のドイツも世界恐慌の真っ直中にあり、国民のほとんどが失業者という状態だったのだ。

その中で、失業問題を解決してドイツ経済を僅か2年で立て直してしまったのがナチスだったのだ。
(だからこそ、ナチスは多くのドイツ人の支持を集めることができたのだが。)

その具体的な政策は、現代においても充分に通用する。

例えば、

  • 中高年を優先的に雇用する
  • 中小企業の貸し渋り対策
  • 農家の借金を凍結する
  • オリンピックをビックビジネスにかえる
  • 少子化対策とニート対策
  • 労働者の為の「フォルクスワーゲン」
  • 大企業に増税しても労働者には大減税
  • メタボリック対策と「食の安全」
  • 天下りの禁止 ~公務員改革~

この様に並べてしまうと、「そうはいってもね~、それをしたら・・・」という声も聞こえて来そうだが、本書を読むとその政策に関していま少し調べてみても現代への実効性と適用性を考える上で面白いかもしれないなと思うような内容だった。

また、ナチスといえば国際的な悪行ばかりがクローズアップされがちだが、本書を読む事で、改めて国内では、労働者の為の政策集団としての活動が際だっていた為に、これならば多くのドイツ人の支持されただろうなと合点がいく。そういった事に気付かされた。

一番、興味深かったのは経済政策としてのアウトバーンの建設である。

日本でも道路行政という言葉あるぐらい、政治と道路の結びつきは固い。

しかし、本書を読むと日本の政治は本当に考えがないなと思わせられた。

例えば、日本では建設費用は大体、大手ゼネコンがとって、下請けがとって、孫請けが・・・。と、要は「企業」の中に留保されていく。しかし、アウトバーンの建設では、「労働者」の賃金がきちんと確保されるようになっていたという事実である。

これは政治家にもっとも足りない配慮ではないだろうか。

結局、現在の日本の多くの政策やそれにともなって発生するお金は、国民の個々に行き渡るように実施されるのではなく政治献金をしてくれる「企業」にプールされるようになっている。

昨今クローズアップされるようになってきた<派遣>の問題にも、上述のような要素が強いのではないだろうか。

ただ、それに対してナチスドイツの政策を賛美するわけではない。

しかし、本書に書かれている内容は、現代に日本に置き換えて考えてみると面白い要素が多々あるなと思う。

経済政策の他にも、格安でドイツ国民が海外旅行を楽しめるナチス旅行者や出産後の母親が休養をとれる施設等、おもわず「へ~」といってしまうようなトピックスもあった。

(最高★五個として)
好き度     :★★★★   (楽しく読める1冊)
お薦め度 :★★★★  (現状を顧みて、もうひとつ教養と雑学が増える1冊)
かな。
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田中

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by 田中 (2009-05-09 20:07) 

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