【読書感想】蒼穹の昴 ~ 壮大な物語、一気に読み切ってしまった~ [読書]
ここのところNHKでドラマ化された小説を読んでいる事が多い気がします。
しかし、実際のドラマは全く見ていなくて、「蒼穹の昴」も田中祐子さんが西太后役をやっていたなと非常にビットな情報しか持ち合わせていません。
それでも、テレビドラマ化されるというのは、きっとストーリーとして魅力があるのだろうな・・・・と思って手に取ってしまうのでした。
地方郷士と同郷の貧民(といってしまっていいのかな)がそれぞれ官僚と宦官となって、清王朝で位人臣を極めていく。だが、戊戌の政変で官僚は失脚しいま一方の宦官は西太后と共に黄昏の紫禁城を帰って行く・・・。
というところが大まかな(苦笑)話です。
4冊もあって、かつこれから読む人の邪魔をしない程度の情報というのは中々難しいですね。
さて、思った事。
官僚になる為の科挙。これはとても丁寧に描かれています。おそらく、この大変さという事がきちんと示される事で、官僚となった後、若くても大きな事が出来るのだという事を印象づけたいのだなと思いました。
その一方で宦官になる事。これに関しても同様に肉体に対する極限までの挑戦である事を浅田氏は描いているのですが、主人公に関しては意外とあっさりとしていたなと思いました。日本人のメンタリティには2回も非情なる場面は必要ないかなとも思いますが。
この本を読んで、イメージが大きく変わったのが西太后です。これまで西太后というと映画『火焼円明園』(邦題『西太后』)の中で、東太后の両手両足を切断して・・・のような映画の中のイメージがずっと私のなかに刷り込まれていました。しかし、蒼穹の昴で描かれた西太后はもちろん立場上、非情なる面も持ち合わせているのですが、残虐きわまりないという存在ではないのです。
実際のところ、様々な面を持ちながらも温和な中国王朝の中では割りとまともな施政者であったようです。
こういった残虐性のイメージは、その名を借りて暗躍した宦官達の仕業が後生に語り継がれてしまったものなかもしれません。
好き度 :★★★★ (いまが旬なきがします)
お薦め度 :★★★★ (もしかしたら、未来で既視感を感じられるかも)
かな。
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