【読書感想】世界最悪の鉄道旅行ユーラシア横断2万キロ [読書]
これまた、下川裕治氏のちょっと「おしゃれな」旅行記です。
学生時代にこのルートが解放されていたらトライしてみたかったなと思わせるような行程です。
ただ、<世界最悪>というのは少し言いすぎかな、誇大表現かなという気がします。
1970年代に同じとは言えませんが、ユーラシア大陸を鉄道で旅した、ポール・セロー「鉄道大バザール」を読んだ時の方が正直、ユーラシアを横断するのはえらい事なんだなと思った気がします。
また、今回は所々、東京へ戻ってはまた中断地点へと戻る形式の旅で、そこに何だか味気なさを覚えてしまいました。
そうはいっても中々自分ではいけない土地に敢えて挑み、それを文章として読める事は夢が広がる楽しい事です。そして、こういった先駆者がいるからこそバックパックを背負って出かけてみるかという気になるというものです。
私の様なオジサンにとっては夢として楽しく読んで終わってしまうかもしれませんが、時間はあるし、何かにチャレンジしてみたいという若い方には、「旅立つ」まえのイメージトレーニングとして読んでみると良いかもしれないと思いました。
ただ、先日も書きましたがThomas CookのOverseas timetableが出版されていない現状では、この1冊をもって飛び出していくのは危険かもしれないですね。
現代社会においては時間的合理主義を超越した鉄道路線の存在はいつまで超越し続ける事ができのでしょうね・・・。本書を読んでいても、「合理化」の波は日々世界の至る所に押し寄せていることが分かります。
哈爾浜から北京まで高速鉄道に乗っていますが、筆者自身、何となく違和感を持っているようなイメージを持ちました。しかし新幹線に類するような高速鉄道鉄道を敢えて避けて、あるいは他の合理的な手段が一般的でもあるにも関わらず、敢えて非合理的な鉄道での旅というのは、「なんて、最悪なんだ!」と叫びつつ、その一方で非合理生そのものを求めて出かけていく贅沢なものなのだという一面も改めて認識した1冊でした。もっとも、実際に乗られた筆者とカメラマンの方にとっては、違ったかもしれませんが。
好き度 :★★★★ (線路は続くよ、でも政治と合理化はその道を断ち切る)
お薦め度 :★★★★ (外国の鉄道に興味があれば)
かな。
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